あー.....安心した。
やっと家についた。
ドアを開ける。
俺は一人暮らしだけど、一軒家。
俺だって金はあるからな。
「ただいま・・・・・」
「おかえりーーっ♪」
返答はないはずなのに声がした。
まさか泥棒?
いや、泥棒だったら逃げるはずだ。
ましてやおかえりなんて。。。。
「だ、だれだ!」
焦ったような声が出た。
まあ、焦ってるけど。
「えっと......紺野海ッスけど」
「は?」
リビングのほうから顔を出す。
「兄貴....なんでいんだよ」
「ん~?想に会いたくって~♪」
うぜぇー
コイツは海〈Umi〉
俺の兄貴。
志望就職を諦め、今ではホストをしている。
いまは就職活動中。
「俺、今から大事なことすっから帰れ」
「は?俺をなんだと思ってんだよ」
「ん?チャラ男・・・」
「はぁ~?俺はな、かつてメイクアップアーティスツ、トップに選ばれたこの海様だぞ?それになナンバーワンホストだぞ?」
メイクアップ・・・・・・・!!!
これはもうしてもらうしかねぇ。
「オ、オマエに頼みがある。俺を女にしてくれ」
「は?」
「ちょっとあって女にならねぇといけねーんだ。頼むっ」
俺は土下座した。
これで断られると困る。
「土下座はやめろよ。つか、なんで?」
「後で説明すっから」
「わーったよ。ひっさしぶりだな~♪」
兄貴はメイクアップアーティストになろうと必死に頑張ってトップになったが、出世できなくてサラリーマンを選んだ。
「このメイク道具を使ってくれ」
俺は琉愛に借りたものを兄貴に手渡した。
「お~いいモンあんじゃん」
兄貴は結構乗り気だ。
楽しそうに鼻歌を歌っている。
「じゃあこの椅子に座ってくれ」
兄貴は鏡のある洗面所に椅子を移動した。

