珍しくリリスは考え込むように、頬に手を当てる。

「その生徒はいつからいるんですか?」

「今朝だ。昨日の放課後まで私の席は一番後ろだったのに、今日はその後ろにヤツがいた」

「…マカ先輩のすぐ後ろの席、ですか。明らかに狙ってのことだと思いますね」

マカは人成らざるモノの血族のモノ。

しかも次期当主という座にいる。

「私の家に用があるのか、それとも力に用があるのか知らないが、ずいぶんと回りくどいことをする」

「そうですね。…でもたった一晩で、クラスメートの方々の記憶を改ざんするとは…。ただモノではまずなさそうですね」

「だからお前を疑ったんだ、リリス」

「ヒドイ言い様ですね。まあ前科があるだけに、文句は言えませんが」