「お互い、背負っている物が重くて暗いね」

「それはリリスも同じだろう?」

マカの視線を受け、リリスは苦笑した。

「今はどこも大変、ということですわね」

そしてマカは諦めたようにため息を吐き、眼を閉じる。

次に開けた時には、赤い色は消えていた。

「…はあ。まあ良いだろう。学校生活では普通の人間として過ごせ。ちょっとでもおかしな行動をしたら…」

「分かってる。そんなことしたら、本家の者に帰されるだろうしね。大人しくしていることを約束するよ」

「なら良いだろう。お前が中間の立場を貫くならば、近くにいることを許可しよう。リリス、お前もそれで良いな?」

「…マカ先輩が良いと仰るなら」

本当はイヤそうだが、マカの意見は変えられないことを、リリスは分かっている。

「では話しは終わりだ。ソウマ、私の意思を当主に伝えといてくれ」

「…分かりました」