「どうやらマカ先輩の血族には、いろいろと秘密がありそうですわね」

「おっと。魔女のキミの前で話すことではなかったな」

苦笑いを浮かべるサクヤに対し、リリスは満足そうに微笑む。

「まっ、そういうこと。だからこれからは仲良くしてほしいかな?」

「…それはこれからのお前次第、だな」

そう言ったマカの両眼は、真紅の色に染まっていた。

その眼を見て、サクヤは意表をつかれたように息を飲む。

心臓よりも、自らの体に流れる血が騒ぎ出す。

「ふっ…。血族の赤眼、か。一部の本家筋と力の強いモノだけが、血族の始祖と同じ赤眼を具現化できるという話は本当みたいだね。…見ているだけでも、血がざわめくよ」

そう語るサクヤの表情は、苦しそうに歪んでいる。

「お前の眼は、染まらないのか?」

「…残念だけど能力は高くても、血族としては薄れていっている者だから」

緊張した面持ちで、サクヤは軽く息を吐く。

そして気を取り直したように、軽く笑って見せる。

「とりあえずは中間的な立場でいさせてもらうよ。マカはちょーっと微妙な立場にいるみたいだしね」

「黙れ。私がイヤなら、とっとと帰るが良い」

「それはできないな。俺も分家の長としての立場と役目があるから」

サクヤの声と表情は、真剣そのもの。

しかし次の瞬間には、泣き笑いになる。