「ところでこれから行くソウマさんですけど、血族のことには詳しいんですか?」

「アイツも情報屋だ。少なくとも私よりは詳しいだろう」

「信用しているんですね」

「互いに利用し合っているだけだ。いくら血縁者とは言え、そこまで甘くはない」

「甘いと言えば。マナは否定していましたが、ミツルと良い雰囲気でしたね」

リリスの言葉を聞いて、マカはふと思い出す。

「ミコトとカガミは…微妙な雰囲気だったな」

「カガミは素直じゃありませんから。ホラ、ああいうのを『好きな子ほどいじめるタイプ』って言うんですよ」

「……ミコトの苦労が眼に浮かぶ」

美しい異国の容姿をしているが、カガミはどことなく執着心が強いように見える。

そしてミコトは気兼ねなく人と接するが、カガミみたいな粘着質タイプは苦手と感じているだろう。

「いっそ哀れだな…」

逃げたくても逃げられないミコトを思うと、マカは少しだけ同情したくなった。