六花の約束

とっさに言葉が出てこなかった。

長いまつげ、桃色の頬、真っ赤な唇。

髪はいつもと同じだが、かんざしをしている。

小さな花がたくさんついている、かわいいかんざし。

…もちろん、俺があげた六花のかんざしなんて、影すらない。

……もともと、期待していないけど。

「蘭之介?どうしたの?」

固まっている俺を、不思議そうに見上げる、凜。

…その上目づかい、反則…。

俺、今絶対顔赤い…。

「あらあら、隊長様ったら。姫様がお美しいからって」

「固まるなんて、かわいいですね」

女房たちに、くすくすと笑われる。

「…蘭…」

凜にまで名を呼ばれ…。

「……お綺麗です、凜姫様」

「…ありがと…」

凜もほのかに顔が赤い。

…化粧のせいと、暑いせいかな?

こんなにかわいい凜なら、津田様もいちころだろ…。

「では、行きましょう」

ほんとは行かせたくないけど。

凜を促して、津田様のいる部屋へ向かう。

はぁ~。

これで、凜も結婚すんのかな…。

…辛い…苦しい…嫌だ…。

こんなこと言ってても、意味ないことくらい、分かってる。

でも…誰にどう思われようが、どうだっていい。

ただ、俺は…

凜…お前が好きだ…。