六花の約束

「姫様…?」

部屋に戻ろうとしたとき、日海に呼び止められた。

「…どうかした?」

できるだけ、いつもと同じように振る舞う。

「どうかなされたのは、姫様のほうでしょう。…なにかあったのですか?」

…なんで、日海は分かるんだろう。

ずっと一緒にいたからだろうか。

蘭よりも、ずっと。

「…日海…」

「はい?」

やばい…言っちゃいそう…。

だめだ、言ったら。

そう思うのに、日海は言った。

「…姫様。私には話して下さい。姫様はいつもそうです、何でもお一人で抱えこもうとなさる。…私には、頼ってもらってよろしいのですよ…?」

「…っ…ひあま…」

知らなかった。

日海が、そんなこと思ってたなんて。

…こんなに近くにいた日海の思っていることさえ分かっていなかったんだ、あたしは。

「…日海、聞いて…」

「はい。…お部屋に入りましょうか」

日海は優しい。

いつも、いつも、あたしの変化に気づいてくれる。

だから、大好き。

「…日海。あたしね…」

そしてあたしは、蘭のことも、今までのこと、今あったことも、すべてを話した…。