六花の約束

ねぇ、蘭。

あなたがそんな困った表情を見せるのは、あたしと話したくないから?

あたしが嫌いだから?

それとも…想い人が、いるから?

もう解らない。

あなたのこと、昔はよく知っていた。

帰ってきたときも、昔とあまり変わっていなかった。

なのに、今は…

あなたが、別人のように感じる…。

別人のように、あなたとの距離が…遠い。

……いつから?

いつから、こうなってしまったのだろう。

蘭が、態度を変えてから?

…違う。

もっと、もっと後。

あたしが、…稽古をつけてくれるよう、頼んでから…。

そうか。

蘭は、あたしが稽古をするのが嫌なのか。

あたしを教えるのが、嫌なのか。

…あたしが蘭に教わらなければ?

そうすれば、蘭はまた笑ってくれる?

あたしを嫌いにならないでくれる?

…この世は、解らないことだらけ。

一人で全てを知るのは、無理なのかもしれない。

だけど。

一人の人を知ることは、無理なことなの?

あたしは、蘭が知りたい。

蘭のことなら、何でも。

そして、あたしのことも知ってほしい。

正直に言うと、嫌わないでほしいだけ。

邪魔だと思われたくないだけ。

ねぇ、蘭。

あたし、あなたに想い人がいるのなら。

潔く、身をひくよ。

だってそれが、あなたの幸せでしょう?