六花の約束

有り得ない。

どうしてこの人は、あたしの想い人が分かるのだろう。

「…なんで、分かったの?」

「え?あれで分からないほうがおかしいよ」

ああ~、一瞬で分かった。とでも言いたそうな、津田さん。

…分からない。

あたしには。

そんなあたしの思いが分かったのか、津田さんはご丁寧に説明してくれた。

「まずね、空……やっぱり、空はまずいな…。凜姫。…でいいか?」

「いいよ」

呼び方なんて、なんでもいい。

あたしは知りたい。

なんでばれたのかを。

だって、気をつけないと蘭にもばれちゃうってことでしょ!?

それだけは避けたい。

蘭には、幸せになってもらいたい。

あたしの想いが邪魔なら。

あたしはこの想いを絶対に告げない。

……そりゃあ、蘭もあたしのこと想っていてくれれば、嬉しいけど。

すっごく、すっごく嬉しいけど。

それは、有り得ないから。

蘭のあの態度を見れば、あたしのことなんて嫌いなんだって分かる。

それこそ、誰でも分かる。

「凜姫は、あの人を蘭って呼んでるでしょ?あんなの、普通は有り得ないから」

「…へ?なんで?」

だって、昔は仲良かったんだよ?

蘭って愛称で呼ぶのは、おかしい?

「普通の姫はね、蘭とか、愛称では呼ばないよ。…凜姫だって、あの人以外を愛称では呼ばないでしょ?」

言われてみれば…。

そうだなぁ…。

あたし、蘭以外を愛称で呼んだことないな…。

それって、蘭が特別ってこと?

まあ、実際特別なんだけど。