六花の約束

ここで本当の名前を言ったら、なぜここにいるんだと面倒なことになるな…。

連れ戻されるかもしれない。

だったらここは、凜だと明かさずにいよう。

「…名前は…」

なににしよう?

なんか…ないかな…。

「…名前がないのか?」

おそらく津田さん…という人が話しかけてきた。

「…別に、あんたらに教える名はない」

「貴様、誰に向かってそんな口の聞き方をしているんだ!」

「身分をわきまえろ!」

部下が怒ってくる。

いや、あたしからしてみればあんたらのほうが身分をわきまえろって。

「…やめろ、お前たち。海瀬殿は身分をお気になさらない。今は気にするな」

今は…って。

まあ、止めてくれただけよしとするか。

「で、そなたの名は」

津田さんはしつこく聞いてくる。

「…だから、あんたらに教える名はない」

うんざりして返す。

「…うーん、ならなんと呼ぼうか」

いやいや、別に考えなくても…。

これ以上関わることないし。

そう言おうといたのに。

「よし、空にしよう!」

いい考えだろう?とも言いたそうに笑う、津田さん。

…どうでもいいし。

てか、空って…。

あなたの趣味か…。

呆れていたら、津田さんはもっと有り得ないことを言い出した。