六花の約束

翌朝。

「おはようございます、姫様」

…朝から日海か…。

「おはよう、日海」

「では、着替えましょうか」

黒~く笑いながら着物を手にしている日海。

「…自分で着替えるよ。…袴は?」

いつもの袴がない。

「…姫様、今日はなんの日だとお思いですか!?」

日海があきれたように聞いてくる。

…なんだろう?

特別な日でもないと思うけど…。

考えているとはあ~っとため息をつかれた。

いや、分かんないから。

「…ため息つくと幸せ逃げるよ?」

「…姫様。今日はお見合いでしょう!」

「……だから?」

いや、お見合いだからって袴じゃだめなの?

今まで袴じゃなかったっけ?

「少しくらい着飾ってください!今日は女用の着物を着ていただきますからね!」

「ええーっ!?女用の着物って…やだよ!」

「つべこべ言わない!」

くっそ、日海のやつ~。

なんであたしが今さら女用の着物なんて着ないといけないんだ!

あれって走れないし重たいし…とにかく面倒!

そんなの日海だって知ってるはずなのに…。

あれよあれよという間に、着替えさせられてゆく…。

「姫様、お綺麗ですわ~」

「髪はどうしましょう?」

いつのまにか他の女房が出てきて、あたしを取り囲む。

…どうでもいいから、早くしてくれ…。

逃げられないじゃないか…。