六花の約束

凜が、いきなり頭を下げた。

…は?

「ひ、姫様?」

「お願い!あたしの望みを聞いて!」

な、何を言っているんだ、この子は。

そんなことで、頭なんて下げるなよ。

「…私にできることなら、何でもいたします。ですから、頭を上げてください」

「……あたしに、剣の稽古をつけて」

…え…。

本気…?

「姫様、私の稽古は厳しいですよ」

それでもやろうとするのか、凜は俺から目を離さない。

その瞳に映るのは、強い意志。

「…分かりました。ただし、やるからには本気です」

凜の顔がぱあっと明るくなる。

「ありがとう!」

満面の笑みでお礼を言われる。

っつ…。

その顔、反則…。

かわいすぎんだよ!

「……もう一つ、あるんだけど…」

言いにくそうに視線を泳がす、凜。

「なんです?私に出来ることなら、なんでも」

なんだってしてあげる。

凜のためなら。

「……往生際悪いって分かってる。でもっ…せめて、せめてあたしを名前で呼んで…?」

泣きそうな顔で小首を傾げてお願いしてくる。

……この子は、ねらってやっているのだろうか。

「……姫様、どのようにお呼びすればよろしいですか」

「っ、呼んでくれるの!?」

すぐに笑顔になっている。

ほんと、表情がころころ変わって、見てて飽きない。

「はい」

呼び捨てじゃなければいいでしょ。