★蘭side★

凜に勝負を挑まれるとは、思ってなかった。

驚いたけど、もっと驚いたのは、その後の凜の言葉。

「あたしが勝ったら敬語をやめて。そして、あたしを………凜って呼んで」

は?って思った。

俺、絶対に負けられないじゃん。

俺だって敬語なんかやめたいし、凜って呼びたい。

昔みたいに、身分なんか無視していたい。

でもね、凜。

大人にならなきゃ。

そのほうが、凜にとっての幸せだろう?

髪を守ってくれた大切の人のもとへいかなきゃ。

いつまでも俺なんかに執着しないで。

そんなことしてたら、いつか凜は後悔するから。

そう思って臨んだ凜との一本勝負。

俺が今まで戦ったことないくらい…強かった。

うわさは本当だな…。

最初はかわすだけだったけど。

俺が本気じゃないって凜に見破られたから、本気でいった。

俺が本気でいくと、だいたいが気を失うか吐く。

気力が保たないらしい。

でも凜はどちらもしなかった。

最後は力尽きてしゃがみこんでいたけど。

それだけでもすごい。

凜がものすごく強いって証拠。

凜に勝った後。

「すごいですね、隊長!」

「今度私にも稽古をつけてください!」

「あっ、ずりぃ!俺だって」

「俺だって!」

すぐに他の武士たちに囲まれた。

適当に話をつけて、凜を捜した。

…凜がいない。