「…そうですよ」

それだけ言って、竹刀をとって素振りを始めた。

…ちょっとみてよう。

そういえばあたし、蘭の実力知らないなぁ…。

主が自分の親衛隊隊長の実力を知らないって、いろいろとまずくないか?

戦いになったとき、実力が分からなければ戦闘態勢が組めない。

いや、そういうのは父上に任せていいのか?

…いいんだよな…。

だってあたし、本当の戦になったら戦わないもん。

一応姫だから、死んじゃったらまずい。

…けど、蘭の実力は知りたいなぁ…。

強くなって戻ってくるって言ったからな…。

どれだけ強いんだろう?

…勝負してもらおうかな…。

………ん?

勝負?

ってことは、勝ち負けがつく。

…賭けをしてみようか。

あたしと蘭で。

蘭の敬語をやめさせるために。

このままでは、蘭はずっとあたしに対して敬語を使う。

なら、あたしが蘭に勝って敬語をやめさせればよくない?

それなら、蘭も納得してくれるんじゃないか…?

…いちかばちか。

やってみるだけ価値はある。

そして、蘭に勝つ。

そうあたしは決意した。