六花の約束

「一本!勝者、凜姫様!」

「おおーっ」

周りから歓声があがる。

これであたしは10人抜き。

けど、いくらやっても気分は晴れない。

…どうしちゃったのかな、あたし。

「姫様、さすがですね」

うれしそうにあたしをほめる、日海。

いつもなら、そうだろう?って言ってやるのに、今日はそんな気分じゃない。

そんなあたしを不思議に感じたのか、日海は心配そうにあたしの顔を覗き込む。

「ひ…」

日海がなにかをいいかけたとき。

「こんにちは、姫様」

蘭の声がした。

「うわさ通り、お強いですね。…10人抜きですか…」

本当に驚いたように言われた。

「……女だって、自分の身は自分で守らないといけない」

父上に教わったことをそのまま言ってみた。

「その通りですね。…ですが姫様。私どもがいるときは、頼ってくださいね」

そう言って、微笑まれた。

……っ…。

その顔、かわいすぎる…。

けど、言われていることは、腑に落ちない。

みんなあたしより弱いのに、頼るっていいの?

そんなことをあたしが思っていることに気づいたのか、蘭がいった。

「…姫様が強すぎるだけです」

…なぜわかった…。

ある意味、怖いよ…。

「……蘭…之介は、これから稽古か?」

思わず蘭と言いそうになって、慌てて付け加えた。

すると蘭は一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、あたしは気づかなかった…。