なーんて、のん気に考えていたら、下の方から今までとは違う若い女性の声がした。

「凜姫様!私にはあなた様がどこにいらっしゃるか分かっていますよ。早く出てきてくださいまし」

げ…。日海……。

日海とは、あたしが一番信頼してる女房。

小さいころから一緒にいる。

年もあたしより2つ上なだけ。

だから、すごく仲が良い。

「凜姫様!早く降りてください。親衛隊隊長様がお見えになっていらっしゃいます!」

「……分かったよ…」

そう言って、あたしは木から飛び降りた。

日海以外の女房たちはあたしが木から飛び降りたから、驚いている。

「姫様、そんなところにいらしたのですか!」

「木から飛び降りて…。危のうございますよ」

……あたしが木から飛び降りたくらいで怪我するとでも思っているのか。

そんなわけないだろ…。

「それにしても日海。よく姫様がいらっしゃるところが分かったわね」

「本当。さすがは姫様一の側近ね」

女房たちが口々に日海を褒める。

日海、うれしそうだな。


あ~、それより…。

「親衛隊隊長のとこ、行くんだろ?」

みんなおしゃべりに夢中で忘れていたっぽい。

「そうでした!」

慌てて小走りで駆けていく。

彼女たちの小走りなんて、あたしにとっては早歩きみたいなもん。

だから、日海と一番後ろからついていく。

「ねぇ、日海。新しい親衛隊隊長って、どんな人?」

ふと気になって聞いてみると、案外驚かれた。

「姫様がっ、殿方をお気になされた…!」

……そっちかい……。