六花の約束

「凜、俺ちょっとあっち行ってる」

「はーい」

俺は凜に断って、違う店に入った。








「らっしゃい!お兄さん、恋仲にでも贈り物ですかい?」

入るなり、いきなり声をかけられた。

「あー、うん」

「どんなものがよろしいでしょう」

俺は少し悩んで…。

「…これがいい」

俺が選んだのは、桜のかんざし。

薄い桃色に小さな真珠がちらしてあるもの。

「へぇ、それにお目をつけられるとは。それは、海瀬様が奥方様に贈られるものですよ」

「え…?」

「まぁでも、あのお人たちですから…。欲しがるものがいれば売ってもよいとおっしゃっていますね」

「それって…代々海瀬を継ぐ人が、妻に贈っている…ってこと?」

「へぇ、そうなります」

……これって、運命…みたいなものだよな?

俺は何も知らなかったわけだし。

「…正直なところ、海瀬様以外の人がそれを買ったことはありません。それに、先代がそれを贈ったから贈っているのではなく…たまたま、そうなるようです」

まさに運命ですよね。

そう言って、店の人は笑った。