あたしは、蘭がいなくなったことをやっぱり受け入れられなくて、何度かさがした。

でも当たり前だけど、蘭はいなくて。

一度だけ、蘭に会いに行くって駄々こねて。

夜遅くに城を抜け出して江戸へ行こうとした。

もちろん、こっぴどく怒られた。

蘭は必ず戻ってくる。

必ず約束を守ってくれる。

そうだよね、蘭。

だからあたしは、待ってるよ。

寂しくなったら、蘭がくれたかんざし見るから。

かんざしは、肌身はなさずにいつも持ち歩くから。

結婚だって、しないよ?

しなくてもいいように、理由も考えた。

あたしが剣強くなって、あたしより強い人じゃないと結婚しないっていうんだ。

いい考えでしょう?

だから、蘭。

安心して?

あたしは大丈夫。

蘭は、修業頑張ってね。

約束が叶う日を、信じて……。

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