六花の約束

「あの、何故ここにいらっしゃったのですか?」

ふと不思議に思って聞いてみた。

「許婚に会いに来た、という理由では駄目なのか?」

どきっとした。

「…俺はもう20歳、君も17だろう?親がね、そろそろどうかと…」

どうか、は即ち結婚してはどうか。

…どうせ許婚。

どうせ愛のない結婚。

…私はあなたを好きだから、それでもいいけれど。

「実夏樹様は、それでよろしいのですか?」

「俺?まあ…」

実夏樹様は、言葉を濁して私から目を逸らす。

ずきっ…と、胸が痛んだ。

「…どちらにせよ、私に拒否権などありません。実夏樹様がお決めくださいませ」

そう、女である以上、親を亡くしている以上。

私に拒否権などない。

決めるのはすべて実夏樹様と実夏樹様の御両親。

私はそれに従うだけ…。