六花の約束

彼はふっと笑って、私の隣に腰を下ろした。

「“実夏樹様”、か…。“みかき”って、男の名前じゃないよね」

「も、申し訳ありません」

「なんで君が謝るの?」

実夏樹様はくすっと笑みをもらした。

…そんな風に笑わないで。

「…お名前で呼ばれるのが嫌なのかと…」

「別に嫌ってわけじゃないけど。…これで舐められたり馬鹿にされるのは嫌だ」

嫌われてると分かっているのに、錯覚してしまいそうだから。

「…良いお名前だと思いますけれど」

「どこが、と聞いておこうか?」

聞かなくていいのに。

「夏に実る樹…綺麗じゃないですか」

しまった…。

男の人の名前を綺麗なんて。

やってしまった、また嫌われてしまう。

「ははっ、綺麗か。だったら君の名前もいいんじゃない?綺麗で」

「…ありがとうございます」

名前を誉められるのは、嫌いじゃなかった。

ただ、名前に似つかない性格をしていると、思い知らされるだけで。