六花の約束

「姫様!もう朝ですよ」

「んん…日海~、もうちょっと…」

「駄目です!今日は九条様とお約束があるのでしょう?」

「そうだった!!」

いつもはなかなか起きないのに、その言葉で跳ね起きた姫様。

九条様効果、恐るべし…。

「…そんなにお好きなのですね、九条様が」

「日海!?…好きだけど」

…朝から御馳走様です。

「日海こそ、許婚とはどうなの?」

姫様は着替えながら私に爆弾を落とした。

「ひ、姫様!そのようなことを…!」

「えぇ、何、進展あり?」

「何もありませんよ!」

最近会ってもいないし…それに…。

「私、嫌われてるみたいですから」

だから、もう17なのに結婚もしていない。

「…日海を嫌い?」

…心なしか、姫様を纏う空気が少し黒くなった気がした。

「…日海」

「はい」

「許婚の名前は?配属はどこ?今何してる?あたしがぶちのめしてやってくるから」

「姫様!朝から物騒なことを言わないでください!!」

この姫なら本気でやりかねないから、怖い。

「だって、日海を嫌いとか…許せないよ!こんなに優しくて可愛くて…自慢のお姉ちゃんなのに!!」

お姉ちゃん…。

その言葉が、何より嬉しいと。

あなたは知らないのでしょうね。

「…私には、姫様がいらっしゃればそれでいいのですよ」

姫様は少し腑に落ちない顔をしたけど、嬉しそうに笑ってくれた。





その笑顔を、見ていられるのなら。

私はそれで満足なの。