『お日様の当たる海のように輝いて、温かく他人に優しい人になりなさい』
そんな願いから、私の名前は決められた。
日海…優しい人…。
はい、お母様!と、元気に答えたのを覚えている。
そんな優しくて大好きだった母。
母を本当に愛していた、そして私を愛してくれた父。
二人は…もうこの世にはいない。
『お母様、お父様!!』
『日海…逃げるんだ!』
『あなたは助かるのよ…』
『嫌っ!私は一緒にいます!!……お母様…お父様ぁぁぁ!!!!』
…家が、燃えた日。
お母様もお父様も、家と一緒にいなくなってしまった。
真っ赤に燃え盛る火の前から、私は動こうとしなかった。
ただただ、呆然と。
家が燃えて、周りの人が水をかけているのを。
何の感情も映さない目で、見ていた…。