六花の約束

あたしは、振り向くことができなかった。

ううん、立ち上がることもできなかった。

蘭が…しゃがんでいたあたしを、後ろから抱きしめたから…。






「蘭?」

背中に蘭の体温を感じて、温かい。

「…好きだよ。選んでくれて、ありがとう。…絶対幸せにするから」

「…うん。あたしは、蘭と一緒にいられるだけで幸せだよ」

「そんな欲のない…可愛いこと言うなよ」

あたしたちは立ち上がって、向き合った。





「…白無垢、似合うな。六花の精みたい」

「そう?」

「でも、お前は溶けてなくなるなよ?ずっと、俺のそばで笑ってろ」

「…うんっ」

蘭は、そっとあるものを取り出した。





「あ、それ…」

それは、六花のかんざしだった。

「…やっと、約束が叶ったな」

蘭はそう言って、あたしの髪にかんざしをつけてくれた。