六花の約束

「凜、蘭之介。抜けてもよいぞ」

父上がそう言ったので、お言葉に甘えさせてもらった。

蘭もだいぶ疲れた顔してたから…。

あたしたちは城の外へ出た。



「どこ行くの?」

「聖域」

ああ、なるほど。

蘭はあたしの手を握って、どんどん進んでいく。

「…俺…殿が義父上になるんだな…」

「実感わかない?」

「ていうか…恐れ多すぎて…」

「何言ってんの!あたしだって一応は海瀬の姫なんだよ?」

蘭はそんなこと思ってないだろうけど。

「そうなんだよなぁ…。俺みたいなただの武士が…姫のお前の夫なんだよな…」

夫と言う言葉に、どきっとした。

そっか、そうだ。

蘭はもうあたしの夫なんだ。

なんか…照れくさいな。






視界が広がった。

「わぁっ、やっぱり綺麗だね!」

「ああ。ここは冬が一番綺麗だな」

美しい水の周りには、真っ白に輝いている雪。

少し眩しいけれど、とても綺麗な風景。

「…なぁ、凜」

「んー?」

あたしは雪を触りながら、後ろからかかった声に耳を澄ます。

「……本当に、俺でよかったのか?」

「今更?…蘭がいいんだよ。蘭じゃなきゃ嫌なんだよ」

サクサクッと、蘭がこっちに来る音が聞こえる。

音は、すぐ後ろで止まった。

あたしは雪玉を作って、蘭にぶつけようとしていた。

なのに…