六花の約束

凜は涙目で、俺を見つめ続ける。

…至近距離でそんな顔されたら…俺まで赤くなる。

「…あたしの、だよ…」

「えっ?」

いきなりだったから、訳が分からずに…聞き返してしまった。

「それは、蘭がくれたでしょ?十年前に」

どくんっと、鼓動が激しくなった。

「蘭は覚えてないよね。あ、でも反応したってことは…これくれたのは覚えてるかな?」

凜は悲しそうに微笑む。

そんな姿を見て…胸が、締め付けられるようだった。





「…覚えてます」

「え?」

「覚えてます、全部」

そう伝えた瞬間、今度は凜が固まる番だった。





「全部、全部…あの頃の思い出も。忘れたことなど、一度もなかった。あなたのほうが、忘れていると思っていた」