六花の約束

「そなたの気持ちに、気づいていないとでも思うたか」

ニヤリと笑っていわれた。

そうだよな…殿だもんな…。

でもまさかばれてるとは…。

「…蘭之介、頼みがある」

殿は真剣な顔をして、俺を見る。

「凜のそばに、いてやってはくれぬか」

「え…私が、ですか?」

俺は凜を傷つけた。

これ以上一緒にいれば、きっとまた傷つける。

凜を傷つけてしまうことが、怖い。

「そばにいるだけでいい。お前が凜を望まないというならば、それでもいい。だが…凜のそばに、いてやってくれ」

そんなに真剣な表情で言われたら、聞き入れるしかない。

「わかり、ました。できるかぎりのことをします」

「ありがとう。それと、お花を…凜のところへ連れて行ってやってくれ」

「御意」

俺は奥方様と二人、凜の部屋へ向かった。

その間、俺たちは一言も言葉を交わさなかった。