六花の約束

探しに行こうと思っていると、なぜか殿に呼ばれて、部屋に行った。

「失礼します、九条です」

「おお、入ってよいぞ」

「はい」

部屋に入ると…殿と奥方様、そして…凜についているお医者様がいらっしゃった。

「あの…?」

俺はいまいち状況が掴めずにいた。

そんな俺を可笑しそうに見て、殿は笑った。

「いやの、凜の風邪を見てもらっている医者が…話があるらしいのじゃ」

ああ、なるほど、そういうことか。

それならこの面子なのも納得がいく。




お医者様は、難しい顔をして。

重い口を開いた。

「凜姫様のお風邪は…」

治らないとでも、言うのだろうか。

俺は心臓が激しく音を立てるのを聞きながら、次の言葉を待つ。





「お風邪は、とっくに治っております。ですが…凜姫様の場合は、お心の問題でございます」





心…?

凜は、心の病なのか?

「…あの方は、お風邪が治らなければよいと思ってらっしゃいます。それに、不安に思うことがおありなのでしょう。お心が、ぼろぼろです」

風邪が、治らなければいい?

不安に思うことがある?

…なんで…。

「…わたくしのせいですわ…」

「お花?」

「わたくしが、姫に…」

そう言う奥方様の顔は、真っ青だ。

「わたくしが姫に、きついことを申したのです。早く結婚なさいと。それがあなたの幸せなのだから…と…」

奥方様はついに泣き出した。

ごめんなさい、ごめんなさいと、何度も繰り返しながら。






凜のためだけに、泣いていた。