六花の約束

しばらくかんざしを探して、でも見つからなかった。

また探しにこなきゃな…。

凜の大切なものだから。








城へ戻って、凜の部屋の前を通りかかった。

すると、凜の怒ったような声が聞こえた。

そして…襖が開いて。

出てきたその人は。

…奥方様だった。

俺は声をかけるべきか否か、迷って……結果。

「あの、どうかされました?」

失礼とは思いつつ、声をかけた。

奥方様は振り返って、驚いたように俺を見る。

でもすぐに微笑まれた。

「九条様…なんでもありませんのよ。ただの親子喧嘩とでも、申しましょうか」

…そんな雰囲気じゃ、なかったのに。

でも奥方様の言葉を否定するなんてできない。

だから、

「そうですか、失礼しました」

と、言うしかなかった。















凜が、一人で苦しんでいることにも気付かずに。




俺は、奥方様の言葉を…そのまま鵜呑みにした。