「隊長!日海殿が、お話したいことがあるそうです」

小太郎が、俺に伝える。

「分かった」

日海さんが、俺に話?

なんだろう。

凜のこと…だよな。

内心、ちょっと焦りながら日海さんのところへ行く。

「九条様。お願いが、ございます」

「なんでしょう?」

まさかお願いされるとは思ってもみなかった。

「…江戸へ、行かないでください」

…は?

なんで…日海さんが。

すると俺の心を読んだかのように。

「姫様の為でございます。あの方のためならば…私はなんでもいたします」

「それは…私も同じです」

「ならば何故!何故…江戸へ行くなどとおっしゃるのです!?あの方がそれを望んでいると…本気でそうお思いですか!?」

とってかかるような物言い。

正直、驚いた。

日海さんがこんなにも好戦的な人だとは思ってなかった。

「…大声を出してしまい、申し訳ありません。ですが…分かっていただきたいのです。私みたいなただの女房が失礼とは存じます。ですがあなた方は、ただすれ違っているだけなのだということを…どうか、お分かりください」

すれ違っている…?

俺と凜が?

訳が分からない。