六花の約束

「……あなた、あの約束をまだ信じているのですか」

どくんっと、音がした気がした。

「あの約束があるから、あなたは結婚しないのでしょう?」

唇が、渇いて。

「あれは子供の約束でしょう」

何か言いたいのに、言葉を発せない。

「…もう、忘れておしまいなさい」

そんなこと、言わないで。

「それがあなたの為ですよ」

そんな諭すように言われなくても、分かってる。

「……九条様だって…もう」

「分かってるっ!!!!」

あたしは母上の言葉を遮って、叫んだ。

「全部、全部分かってる!母上の言いたいことも、言われなくても!」

…だけど。

「あたしのこと、何でも分かったみたいに言わないで!」

言ってしまってから、はっとした。

母上が…驚いた顔をしている。

あたしはどうしたらいいか、分からなくて。

俯いて、そして言った。

「…すみません…一人に、してください」

「でも」

「お願いです」

母上は、そっと部屋を出て行った。

それを確認して、あたしは寝転がった。