六花の約束

「姫、入りますよ」

突然耳に入った、意外な人物の声。

「はっ、はい、母上」

思わず声が裏返ってしまった…。

くすっと笑って、母上が入ってくる。

珍しいな、母上があたしと会うなんて。

「お身体の調子は、いかがです?」

「まだ気だるいですが…だいぶ、良くなりました」

「そう、それはよかった。でも無理をなさってはいけませんよ」

「……はーい…」

母上の口調は、まるで幼い子供に言って聞かせるようで。

それがなぜか…少し、悲しかった。

「…そうそう、あなたの隊長様が江戸行きを懇願してるわ」

「…!!」

蘭…。

「知って、います…」

「…そんなに簡単には、いかないようだけれど」

え?

簡単にはいかないって…父上が許さないってこと?

「殿様が、許されないわ。あれだけの逸材なしで、姫は護られないですからね」

じゃあ…蘭は…。

蘭の江戸行きは、まだ先になるってことだよね?

よかった…。

自然と頬が緩むのがわかる。