☆凜side☆

「けほっ…」

「ほら、姫様。ちゃんと寝ていてください。怪我も完璧に癒えておりませんから」

「…ごめんね…」

そう、あたしは海に落ちてから…風邪をひいていた。

秋に海なんかに浸かったのが原因…なのは明らか。

なかなか熱も下がらずに、心配されたとか。

あたしは記憶にないから、全部日海に聞いたんだけど。

「……日海。かんざし、見つかった?」

「…いえ…。今探しているところです」

蘭にもらった、六花のかんざし…それを落としてしまったらしい。

ないと気づいたときは、半狂乱だった。

これだけ探してもらっているのに、見つからないなんて…。

もしかして、海の中…なのかな。

もう、見つからないのかな。

あたしが不安に思っていると。

「大丈夫です、必ず見つけて差し上げます。姫様の大切なかんざしですもの」

「日海…ありがとう」

日海が微笑んでくれるから。

あたしは安心していられるんだ…。