六花の約束

城へ帰ると、殿が血相を変えてとんできた。

「蘭之介、凜!!無事かっ!?」

「はい……申し訳、ありませんでした…」

「何を詫びるか!無事だった、それだけで良いであろう!!…さ、早く中へ入りなさい」

…殿は、どこまでもお優しい。

そんな人までもを、裏切ることになるのかもしれないけれど。

「…殿、話が…ございます」

「……後で、ゆっくり聞こう。…おい、探しに行っていた者たちを呼び戻しなさい。二人は無事だったと」

殿は近くにいた人に、声をかける。

まるで、俺の言いたいことを分かっているかのような振る舞い。

「蘭之介、お前も着物を変えなさい。風邪をひく」

「…はい」

「姫様っ!!」

そこへ、日海さんがやってきた。

「姫様、姫様!」

気を失っている凜に、必死に呼びかける。

「大丈夫です、気を失っているだけですから」

「…ありがとう、ございました…!!」

…なんで、お礼なんて言うんだ。

俺が凜に怪我をさせたと知っても、それでも…ありがとうなんて、言えるのか?

こんなことを思ってしまう俺が、一番嫌だ。

「…早く、温めてあげてください…」

凜を女房たちに任せる。