六花の約束

気を失った凜を抱き留め、そのままお姫様抱っこをする。

そして、城へ帰るために小道を歩く。

海へ落ちたときに履き物がどこかへいってしまったらしい。

だから凜も俺も、当然裸足。

…凜が泣いているように見えるのは、濡れたせいだろうか。

それとも、本当に泣いているのだろうか。

…凜のためを想って、俺は判断してきたつもりだったのに。

結局…凜を泣かせることしかできないのか?

凜の望む通りに、動けばいいのか?

それがたとえ、凜に怪我をさせることとなったとしても。

……凜の望みが、解らない。

何を望んで、何を欲しているのか。

「…凜」

誰も聞いちゃいないから。

俺は歩きながら、本音を零す。

「俺はさぁ、お前が望むことならなんでも叶えてやりたいんだよ。だから…なんでも言えよ」

俺を頼れよ。

…確かに、お前に怪我させてばっかだけど。

それでも…

「凜を想う気持ちは、誰にも負けねえよ。それだけは、誓う」

この先はどうなろうと。

俺はお前だけを愛し続ける。

「…なぁ、凜。お前は、覚えてるか?あの絵空事のような約束を」

あのころより、ずっと。

ずっと前から、俺はお前に惚れてた。

…そんなことなんて、お前は知るわけねぇよな。

「…凜…………………好きだ」

弱い俺を、許して…。