「…だいたい、私はやらなくて良いのでは…」

何故俺が華なんてやってる?

「だって、一人じゃなんかやだったんだもん…」

ちょっと寂しそうに言う、凜。

一人は嫌…か。

「…蘭、不器用なんだ?」

「……剣以外、器用ではないです」

料理も作ったことない、華も今やったけど破滅的。

俺ができるのって…唯一剣だけ?

「凜姫様は、器用そうですね」

なんでもできるんだろう、きっと。

「器用というか…。仕方ないからやってたら、自然とできたって言うか…」

自然にって…すげぇな、おい。

「…そうですか。さ、後少しです。終わらせてください」

「うう~」

…なんか、凜が可哀想に思えてきた。

外で遊び回るのが大好きなおてんば娘に、城てじっとしてろって言うほうが無理だろ…。

「……終わったら、なんでもして差し上げますから」

「ほんとっ!?」

しまった…と思っても遅かった。

凜が本当に嬉しそうに微笑んでいたから。

…そんな顔されて、嘘なんて言えない。

「…城下町行くくらいですよ」

「うんっ!蘭ありがとう~」

凜はそう言って、俺に抱きついてきた。

「…っ…凜姫様っ…」

何故抱きつく!

「ん?なに?」

なに?じゃないよ!

しかも上目遣いでそんなこと言うなっ!

抱きつくなっ!

…可愛すぎるんだよ…凜は。

「…蘭、顔赤いよ?暑い?」

…この鈍感姫が…。