★蘭side★

「蘭…城下町に行きたい」

「だめです。…これが終わってからにしてください」

まったく、この姫は…。

つい最近危ない目にあったばかりだろ?

なんでそう外に行きたがるんだよ…。

こっちの心臓がもたない。

だからこそ奥方様は、凜が城から出ないようにするために…今やっているような、華道をやらせたりしている。

「蘭~。あたし苦手なんだけど…」

「本当ですか?…きれいだと思いますが」

凜は本当になんでもできる。

それは姫としての作法を学んできたせいだろう。

「じゃあ、蘭もやってみなよ」

は?

俺に女がやる華をやれと?

何考えてるんだ、凜は。

「…嫌?」

凜は、上目遣いで聞いてくる。

「…う…嫌…ではないですが…」

その顔反則なんだって!

可愛すぎるんだって!

「じゃあ、やってよ」

「……分かりました…」

凜の可愛さに負けて、しぶしぶやる。

…てか、ちょっと待て。

俺が華なんてできるはずなくないか?

だって俺は一応武士なわけで。

男なわけで。

華なんて…やったことない。

というか、華を一生のうちにやる羽目になるとは、思わなかった…。

そんな俺だから、当然…

「凜姫様…」

「なぁに、蘭」

「……無理です」

「はやっ」

んなこと言われても…なあ?