六花の約束

「蘭!?」

なにして…。

「申し訳ございませんでした…!あなたを守ると決めたのに…怪我をさせてしまった」

「別に、蘭のせいじゃない!あたしが…弱かったから…」

蘭が、自分を責める必要なんてない。

「いいえ。武士に二言はありません。その約束を…私は違えてしまった」

蘭…。

そんなこと…誰も気にしないのに。

「蘭…顔、上げて…」

「無理です…」

「蘭」

なんで、上げてくれないの…。

「…蘭。顔を上げなさい……。命令すれば、上げてくれるの?」

あたしはもう耐えられなくて、しゃがんで蘭と目線を合わせる。

「凜姫様…」

「ようやく、上げてくれたね」

命令でしか、蘭はもう動かないのだろうか。

そんなの…嫌だ。

「蘭、自分を責める必要なんてないんだよ…」

「…いいえ。私はあなたとの約束を、守れない」

「たくさん、約束をしたね。守れない約束も…多かった」

あの約束も…。

蘭は、きっと覚えてもいないだろう。

「…凜姫様」

「ん?」

あたしは、蘭が何を言うのか全然想像できなくて、蘭の声を聞き漏らすまいと、耳を傾けていた。

それの後に続く言葉に…泣くなんて思わずに。