六花の約束

あたしが立っていた場所は、崖っぷち。

あたしは為す術もなく。

海へと落ちる…。

はずだった。

がくんっと、腕を引っ張られる。

「凜姫様!?」

「蘭…離せ…」

たとえ蘭でも、たぶん…。

「蘭、あたしはいいから、離して!」

「なにがいいんですか!?」

落ちても…いいんだよ。

どうせ下は海だし。

「海だからって、落ちていい理由にはならないんですよ!?それにっ、怪我してるじゃないですか!」

…わかってる。

けど、蘭を巻き込むのは、嫌だ。

ごめん…蘭。

あたしは、蘭の手を、無理やり解いた。

そのまま…落ちる。

「凜姫様!?…こんの…馬鹿姫!」

蘭が、叫ぶ。

その声と一緒に…蘭も落ちた。

…はぁ!?

「馬鹿は蘭だっ!なんで一緒に…」

…ぎゅっ。

また…抱きしめられた。

そのまま、二人で逆さまに落ちていく。

「…らっ」

何も、しゃべれない。

それほど、きつく抱きしめられた。

「……死なせねぇ」

蘭のその言葉を最後に。

あたしたちは…海に落ちた。