「もちろん、お前が蘭之介に会いたがっていたことなど、百も承知じゃ」

「でしたら、なぜっ…」

なぜ、はやく蘭に会わせてくれなかったの…?

「…時がきたら、分かるであろう」

「父上っ!」

それは……蘭があたしに対して敬語をつかうことと関係あるの…?

父上は、それ以上なにも言わずにでて行ってしまった。

「…姫様」

「なに?」

「これから、よろしくお願いいたします」

だから、なんで敬語つかうの?

あたしたち、あんなに仲よかったじゃない。

約束もしたじゃない。

なのに……なんで?

「姫様、私はこれより稽古ですので、失礼してよろしいでしょうか…」

「あっ…ああ、いいよ。よろしくね」

「では、失礼いたします」

あたしに一礼して去ってゆく。

そしてあたしは直感してしまった。