六花の約束

「逃がさねえよ?」

「…ちっ」

運悪く、山賊の一人に見つかってしまった。

いきなり、剣を振り回してくる。

あたしはぎりぎりのところで短刀で跳ね返す。

…一振りが、重いな…。

女の力でどうこうなる問題じゃねぇぞ、これ。

「くそっ…。逃げろ!」

あたしは美奈子の母上に向かって言った。

「……でもっ…姫様がぁっ」

あたしの心配なんて、必要ないっての!

「いいから!さっさと逃げてよ!…守りながらじゃ…うまく戦えない」

そう。

あたしは、守るものがあると、そっちに集中してしまって、戦いに集中できない。

それが…あたしの弱いところ。

両本ができない。

…くそ…。

男と女じゃ、力の違いが大きすぎる。

蘭は、すごくたくさんの敵と戦ってる。

あたしは一人なのに圧されている。

…ほんと、こういうときは女の自分が嫌になる。

「…凜姫様、後ろっ」

蘭の声がした。

あたしは振り向きながら、短刀で守った。

「…ちっ、もうちょいだったってのによぉ」

…危なかった…。

蘭が、あたしのところにくる。

背中あわせに立つ。

そのほうが、お互いに守りやすい。

「蘭、助かった」

「いえ…。敵が多すぎます。…できれば、下がっていてもらいたいのですが…」

その声には、下がっていてくれませんよね、というような響きが混ざっている。

「下がるはずないだろ。…蘭一人にはさせないよ」