六花の約束

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「……お前、誰だ」

怖そうな男が、あたしにそう聞く。

あたし…凜は、山に遊びにきていた。

けど、迷子になっちゃって…うろうろしてたら、こんな人達と会ってしまった。

「…けっこう綺麗な娘じゃねぇか」

「どうする、売るか?」

「そしたら、金にはなるな」

…怖い…怖い。

誰なの、この人たち。

父上の領地で何をしているの。

分からない。

けど、危険な人達だってことは分かる。

…逃げなきゃ。

あたしは逃げようと、後ろを振り返った。

「おっと、逃がさねえよ?」

男は、あたしの髪を掴む。

「いたいっ…。離せっ」

「おーおー、威勢はいいじゃねぇか」

「よく見りゃ、いい着物着てんじゃねぇか」

「どっかのお嬢だぜ、こいつ」

…痛い…怖い。

誰か…助けて…。

「離してよっ…」

無駄だと分かっていたが、言わずにいられなかった。

「んだよ、うっせーな」

「いい子にしてなきゃ、髪切るぞ」

体を斬られないだけましなのだろう。

でも…。

『いいですか、姫。髪は女の命ですよ。決して、平気で切ってはいけません』

母上に、そう教えられた。

だから…髪を切られたら…。

母上に、怒られる。

嫌われてしまう。