…なーんて、ふっつーに答える、蘭。

会ったときから気になってたんだけど、なんで敬語なの?

なんであたしにまで恭しい態度をとるの?

……蘭じゃないみたいで、なんか、というより、すごく嫌だ。

「…ら」

そのことを聞こうとしたのに…。

「凜よ~、どうだ、驚いたか!」

…空気を読めない父上がいきなり入ってきた。

「……父上」

この怒りをどこにぶつけようか。

「どうした、どうした、凜よ。そのような怖い顔をしていては、せっかくの美人がだいなしではないか」

「……あたしのどこが美人なのですか」

きれないように、慎重に聞く。

「なにをいまさら。のう、蘭之介?」

なぜそこで蘭にふる!

「はい、とてもお綺麗にございます」

蘭…。

って、そんなのお世辞じゃん!

なにうれしがってるんだ、あたし。

「父上。なぜ蘭が帰ってきていることをあたしに黙っていたのですか!」

「だって、凜を驚かしたかったんだもーん」

…何がいい年こいて「だもーん」、だ!

「あのですねぇ…」

「まあ、それもあるが、そなた、蘭之介がいると知ったら会いに行こうといたであろう?」

あの日のように、と付け加える。

「……それっ、は…」

その通りだけどっ。

「けど、あたしが一番蘭に会いたがっていたことは、父上だってっ…!」

あたしが蘭と約束していることを知って、いままであたしのやりたいようにやらせてきてくださったのに……。