六花の約束

「それは、違います。少し…考え方を変えてみてください。…女だから、ではなく、女にしかできないこともあります」

「女にしか…できないこと」

あるのかな…。

「もっと言えば、凜姫様にしかできないことです」

「…あたしにしか?何、それ」

分かんない。

あたしにしかできないこと…。

「…凜姫様は、他の誰よりもお優しい。他の誰よりも…愛情を持って、人と接していらっしゃる」

「それが、あたしにしかできないこと?」

普通のことじゃん。

別に、あたしじゃなくっても…できるよ。

「凜姫様は…もっと自信を持って良いのですよ?」

…自信…。

ないよ…そんなもの。

「蘭、あたし、前も言ったと思うけど…。あたし、蘭がいてくれればいいんだよ」

ほかに何も望まないから。

「蘭、勝手にどっか行かないでね」

「………もちろんです」

このときあたしは、気づかなかった。

蘭が変な間を開けたことに。

その笑顔が、偽物だということに。

何も気づかずに、蘭を信じてた。