「凜姫様…」

「なぁに、蘭」

「……無理です」

「はやっ」

蘭はやり始めてすぐ、諦めた。

「…だいたい、私はやらなくて良いのでは…」

…そうだけど…。

「だって、一人じゃなんかやだったんだもん…」

一人でいることが好きではないあたしは、けっこう寂しがり屋。

…しかたなく一人でいることは多かったんだけど。

好んで一人ではいない。

基本、日海が一緒にいてくれた。

「…蘭、不器用なんだ?」

「……剣以外、器用ではないです」

剣以外って…。

いろいろあるんだけど?

「凜姫様は、器用そうですね」

「器用というか…。しかたないからやってたら、自然と出来てたというか…」

やらなくてもいいなら、こんなことやんないよ。

「…そうですか。さ、あと少しです。終わらせてください」

「うう~」

…結局、逃げられないか…。

蘭相手じゃ、逃げられるものも逃げられないよ。

すぐ捕まるに決まってる。

「……終わったら、なんでもして差し上げますから」

…え…。

「ほんとっ!?」

「…城下町行くくらいですよ」

「うんっ!蘭ありがとう~」

すっごくうれしくて、あたしは蘭に抱きついた。

やばいと思ったのは、蘭に声をかけられてから。

「…っ…凜姫様っ…」

「ん?なに?」