城下町に着いたら、ただならぬ雰囲気が漂っていた。

「何事だ。詳しく説明してくれ」

凜が、姫らしく近くにいたおばあさんに話しかける。

おばあさんは泣きそうになりながら、必死で話している。

…子供が、何者かに捕まった。

そう考えていいだろう。

「…蘭、行くぞ」

「凜姫様は、ここにいてください」

凜を、危険な目に遭わせるわけにはいかない。

なのに、凜は。

「なんで!」

…言うと思った…。

「…戦闘になるかもしれないのですよ」

「だから何!?あたしだって、戦える!」

分かってる。

凜に、覚悟があることくらい。

だけど、ごめん。

俺が耐えられないんだ。

「…人を、斬るかもしれないんです。そんなことを、凜姫様にやらせるわけにはいかない…!」

凜が、人を斬るなんて。

そんなこと、させたくないんだ。

何があっても、俺がお前を守るから。

だから…凜は、心配しないでいいんだよ…。

「蘭。あたしなら大丈夫だから。…誰かを守るためなら…」

知ってるよ。

凜が、大切な人のためなら、どんな無茶でも無茶だと思わないこと。

だからこそ…怖いんだ。

また無茶しそうで。

「…でも…」

「…蘭。行かせて?」

…凜の決心は固い。

「……分かりました。ただし、私から絶対に離れないでください」

「…分かった。じゃあ、行くよ!」

「…はい!」