六花の約束

「…凜姫様。あの人と…試合しようなんて、本気で思ったのですか?」

あたしが泣きやんで、少したってから、蘭はそう聞いた。

「…思ったよ。だって…美奈子を傷つけたんだよ?…許せないよ…」

「凜姫様らしいですけど、今あなたは怪我しているんですよ?無茶はやめてください」

…怪我、してるけど。

美奈子のあの恐怖に比べれば、こんなもん。

なんてことないでしょ…。

ていうか、それよりも。

「…いつまで抱きしめてくれてんの?」

蘭の腕はあたしの背中にしっかりとまわったまま。

いや、嬉しいんだけど…。

冷静さを取り戻した今となっては…ちょっと恥ずかしい…。

「あ、すみません。嫌でした?」

「いや…嫌じゃない…けど…」

…恥ずかしい…。

「そうですか」

蘭はどことなく嬉しそうに微笑む。

…だから…なんで嬉しそうなんだよ!?

…期待…しちゃうじゃん…。

「…蘭のばか…」

「何かいいました?」

「…なんでもっ。…それより、早くやっつけてきてよ。美奈子の仇」

「…仇…ですか。あいにく、あの子は殺されてませんよ」

蘭は苦笑した。

「…でも、怖い目にあったんだ。…蘭、本気でやって」

「…当たり前です」

…蘭が本気を出せば、あんな奴…。

すぐに終わるだろう。

そう思ったあたしの予想は、見事的中した。