六花の約束

「…怖かったんですね。…もう、大丈夫ですから」

…分かってる。

蘭が、助けてくれたから、もう平気。

…のはずなのに。

こんなにも、震えているのは何故?

あたしって、こんなに臆病だった?

天城に触れられたところが、熱を失ったみたい…。

がたがたと、すごく震えてる。

…蘭に、ばれないといいけど。

「…日海殿を、呼んできます。傷の手当てをしてもらいましょう」

蘭は、立ち上がって行こうとする。

嫌だ…。

あたしはとっさに蘭の着物の裾を掴んだ。

「凜姫様?」

蘭は、驚いてあたしを見る。

「行かないで…」

話したいことも、ある。

誤解を、解きたかった。一昨日の。

でも、それよりも。

蘭が行ってしまうのが、嫌だった。

一人に、なりたくない。

身体が、恐怖を忘れてない。

「…一人に…しないで…」

弱虫って思われるかな。

あたしが、甘えたら…やっぱりおかしいよね。

やっぱりいい。

そう言おうとしたとき。

━━ぎゅっ…。

…え?

「やっと…頼ってくれましたね」

あたし…蘭に抱きしめられた…?

「ら…ん…?」

「…泣いてください」

蘭?

なんで…抱きしめるの?

なんで…そんなに優しいの?