「凜姫様!」

障子を思いっきり開けて、蘭が入ってきた。

「ら…ん」

「…ちっ」

その途端、天城はあたしを無理やり立たせて、両手をあたしも頭の上に固定した。

「…いたっ…」

強い力でねじられ、手首が痛い。

「…お前ごときが、凜を名前で呼ぶんじゃねぇよ」

「それはあたしの台詞だっ!お前なんかに、呼ばれたくな…」

「ああ?俺に逆らうのかよ」

瞬間。

あたしは頬に鈍い痛みを感じた。

次に気がついたら、あたしは倒れていた。

「凜姫!」

蘭の、心配そうな声がする。

あ…あたし、殴られたんだ…。

「貴様…!凜姫に何を…!」

「凜姫~?お前、凜のなんだよ」

あきらかに不機嫌そうな、天城の声。

「…凜姫の親衛隊隊長、九条蘭之介」

蘭は、睨みをきかせて、天城を見る。

「俺とやるってのか?」

「…お前が、望むのなら」

……蘭…。

本気だ…。

蘭は殺気立っていて、本当に天城を殺しそう。

いくら天城がむかつくからって、それはだめだ…。

人が死ぬのなんて、見たくない。

…けど…。

あたしが一人で迷っていたら。

「…凜がどうなってもいいのか?」

天城は、あたしに刀を向けた。

「!…貴様…」

あたしを、殺す気か?

…嫌だ…死にたくないっ…。

「いや…」