六花の約束

「やめろ。気持ち悪いから、早くどけ」

抑えていた本性を、さらけ出した。

「嫌ですよ」

天城は、あたしの首筋に唇をあててきた。

「…っ…!やめ…っ」

嫌だ、嫌だ。

離れろ、この変態野郎!

押し返そうとするのに、うまく力が入らない。

「そんなにしてほしいのですか。なら、素直に言えよ、凜」

にやにやしながら、あたしの名を呼ぶ。

「お前なんかに、あたしの名を呼ぶ資格はない!」

父上以外の男で、凜って呼んでいいのは、呼んでほしいのは…。

「…凜。お前と俺は夫婦になるんだ、恥ずかしがる必要はない」

誰が、お前なんかの嫁になるかっ!

「離せっ!」

頑張ってどうにか押し返そうとするけど、怪我した手が痛くて、できない。

誰かっ…。

誰か、きて!

「凜。圭介って、呼べよ」

「…嫌だっ」

「…へぇ、反抗的だな」

天城の顔に怒りが現れた。

その瞬間。

天城はあたしを押し倒して、着物のあわせを大きく開いた。

「なっ…なにする気だ!」

あたしの問いにはやはり答えずに、その代わりというように、行動で表す。

天城は、あたしの胸元に口付けた。

「…いやっ!」

初めて感じるその感触に、耐えられなくてあたしは身をよじった。

気持ち悪い、嫌だ。

そんなあたしの反応を、おもしろがるように見ている、天城。

思い出した。

こいつ、昨日美奈子を危険な目にあわせたやつだ!

有り得ない。

そんなやつに、あたしは…。