六花の約束

「凜姫!」

「美奈子!?」

よく分からない人達に襲われそうになっていたのは、美奈子だった。

恐怖のせいでか、泣くこともできていなかった。

「…凜姫?」

一番偉そうな人が、あたしの名を呼ぶ。

あたしはその人を睨みつけ、言った。

「あたしの名は、海瀬凜。この場所での乱闘は、控えていただきたい」

控えるもなにも、許せない。

美奈子を、まだほんの子供を、こんな目に合わせるなんて。

「…殿!どういたします!」

美奈子を狙っている武士が、主に聞く。

「…好きにしろ」

……!?

好きに…って…。

「承知!」

男は意味深に笑い…。

剣を、振り下ろそうとした。

…悲鳴が、聞こえる。

なにかを考えるより早く、体が動いた。

「…は!?凜姫様!」

あたしは隣にいた蘭の剣をとって、全速力で走った。

美奈子を、助けるために。

今まさに、美奈子を斬ろうとしていた男の剣を、かろうじて受け止める。

男は目を見開いて、あたしを見る。

その首には…。

蘭の、短刀。

「…凜姫様を前にしても、剣を止められないとは…。ふざけるなよ」

━ぞくっ…。

蘭は、これ以上ないほどの殺気を出している。

あたしまで、怖くなる。

「……自分がどうなるか、分かっているんだろうな」

蘭が、本気で怒っている。

男は、がくがくと首を縦にふる。